Holtzbrinck Groupの最高科学責任者であるDaniel Hook氏は、AI技術が研究プロセスにおける人間同士の協働を希薄化させるリスクについて指摘しています。
Hook氏は、自動運転車が乗客に快適な移動を提供する一方で、ドライバーとの予期せぬ会話や社会的な接点を奪う様子を「Waymo効果」と定義しています。これと同様の現象が研究分野でも起こりつつあるとして、LLMが研究者の思考における「摩擦(対話や異論)」を取り除いてしまうことで、研究の多様性が失われる「脱協働(decollaboration)」が進む可能性を警告しています。
現在の研究環境では、資金調達の圧力や成果のスピード重視の傾向から、コストのかかる人間同士の協力よりも、安価で効率的なLLMによる作業が合理的な選択肢になりつつあります。しかし、こうした効率化は、思考のプロセスそのものをスキップさせ、結果として研究の質や創造性を損なう恐れがあります。
Hook氏は、研究の成果物(アウトプット)が安価になる時代において、最も価値があるのは「共に考えること」であると述べ、研究機関や資金提供者は、対話や交流といった、一見非効率に見える協働のプロセスを維持するためのインセンティブを設計すべきだと提唱しています。
出典:
- The Waymo effect: how AI is quietly making research less collaborative(Hacker News Frontpage、2026-09-11)